『「いまだけの育児」をしている「誰かのいま」に届けたい』 Conobie編集長が語る、共感を得るメディアの秘訣

「Conobie」は4月で5周年を迎えました。「共感」を軸に読者の支持を受け、LINE NEWS AWARDを2年連続で受賞、月間200万UU・2000万PVと多くのパパ・ママにご覧いただきながら、子育て中の家庭に「笑いと発見」を届けています。

今回はConobie編集長の瀧波わかさんへ、主に編集で重視していることについてインタビューしました。読者の共感を得る、Conobieの独特の世界観を保ち続ける秘訣が詰まっています。

Conobie編集長 瀧波わか

元・発達指導員。療育現場にて多くの発達障害児とその親御さんへの指導を行う。1児の子育てと仕事の両立を図りつつ、他社メディアで育児コラムの連載を持つなど、ライターとしても活躍。Twitterやnoteの累計フォロワー数は5万人を越えるママインフルエンサーでもある。

 

等身大の体験をそのまま丁寧に届ける編集

- 4月でConobie、5周年ですね!せっかくなので記念にひとことください!

まず、メディアを5年継続することはなかなか大変なので、継続できていてよかったと思いますね。
昨年ドコモに事業譲渡されたタイミングで、編集体制もライターさんも編集にあたってのレギュレーションも大きく変化しました(注: 編集方針の変更はありませんでしたが、社内規定的な部分に変更があったようです)。

事業譲渡されてからのこの1年で、編集部の人数は7人から動画チーム・ディレクターチーム含めて30人に、ライターさんの数も倍になって、公開する記事の数も3倍に増やすことができました。少ない記事をこだわりながら作るというフェーズから、こだわりつつも多くの記事を公開するフェーズに移行できて、5年間運営してきた中で今、一番ユーザーに読まれている状況を作れている。編集体制も安定しているし、メディアサイズも質を落とさずに大きくできたまま、5年目を迎えられてよかったです。Conobieはまだまだ伸びていきます。

 

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こちょれーとさんによるこちらの記事で、Conobieにも登場したわかさん。めちゃそっくりです。

 

- Conobieってなんだか独特ですよね。

Conobieは情報系サイトではなく主力コンテンツは体験談なので、そこが他のメディアとの大きな違いです。便利な情報を知りたくて読むというよりは、ママ友の一人みたいな感覚で、ママの日常により近い世界観のファンに読んで欲しいと思っています。Conobieのコンテンツは100%内製していて、他のメディアからRSSで引っ張ってくることはなく、必ず編集部の手を経て送り出しているのですが、よく編集者へフィードバックするときに、「ちょうどのスケールで編集してください」って伝えています。事件性を必要以上に持たせたり美談にしたり、ドラマチックにスパイシーに描けば描くほど読まれるけれど、Conobieが担っているのはいつでも安心して読めるということ。子育て中のママはどうしても、ずっと家に閉じこもって赤ちゃんと向き合って社会と隔絶されてしまったりいろんな課題を抱えていて、そんなちょっとしんどい時やつらい時にふらっと読みにきても、不快にならないような記事を作るように心がけています。

- なるほど。だから読者は等身大の体験に共感して、安心して読み続けられる。

等身大の体験を、過大にも過小でもなく、そのままのスケールで読者に届くように編集してくださいと伝えているので、だからこそ毎日読めると思うし、いかなるコンディションの時でも読みにこれる。1記事過激に作って読ませるほうが簡単だけど、過激に作るには嘘も出てきてしまうし、1記事読ませるために1読者を失ってしまうから、堅実に作っていきましょうというメッセージを出しています。

 

編集方針を曖昧にせず、ライターさん含め全員で認識を合わせていく

- 先程、編集部が30人に増えたとありましたが、編集方針を共通認識として持つために気をつけていることはありますか?

まず、何がよい表現で何が歓迎しない表現なのか、あいまいにせずに言語化したマニュアルがあります。また、普段は関西にいるメンバー含めて、昨年の7月に合宿を実施しました。そこで編集ポリシーだったり、タイトリングの実践講座を実施して、認識を合わせていきました。
なにより、普段同じオフィスにいないメンバーもいるため、slackで頻繁にやりとりしています。迷ったらすぐ相談するし、表現に対する判断を全員が共有できるし、ナレッジが全員に溜まっていく。これが人数が増えても、編集の質が落ちなかった理由だと思いますし、むしろ、1つの疑問に複数人が意見し、多角的な編集案がでるようになったことで、個々の編集力の向上を感じます。

 

- Conobieで掲載している記事は、どうやって内容を決めているのでしょうか。

基本的にはタイアップ記事の受注比率に合わせています。例えば、今だと漫画型のタイアップ記事が7割を占めているので、編集部記事(注: タイアップ記事以外)の7割を体験談の漫画記事にしています。
毎月ライターさんへ、季節とか時世にあったテーマと普遍的なテーマを合わせて、見本執筆テーマを3つ、具体例と併せて提示します。例えば、4月のテーマで「あえて言う、外出自粛でプラスだった我が家のエピソード」というのがあります。外出できない中でネガティブなことはたくさんあるけれど、子供や家族と過ごす時間が長くなったからこそ見えたこともあるわけで、厳しい状況をなるべくポジティブに捉えるみたいなConobieらしい記事が集まりました。

 

- こういう仕組みがあってこそ、Conobieの世界観は保たれているんですね。

そう思います。Cononbieで書き始めたばかりのライターさんも、長年描いているライターさんもいる中で、切り口の例を出すことでテンションを合わせにいくのもそうだし、あとは例えば今やっているコンテストもトンマナを揃えにいくのにとても重要だと考えています。コンテストの上位受賞者は、ライターデビューできるのですが、コンテストに応募するほどの熱量があって、かつ、技術力があるのは勿論、Conobieとして好ましい表現をしているということで、Conobieのトンマナに理解がありそうな人をスカウトできるので、お互いにハッピーかなと考えています。

 

広告も含めてConobieのコンテンツ、だからこそ世界観を揃えることを重視

- Conobieで読まれやすい記事の傾向はありますか。

2つあります。
まず、圧倒的に発見が新鮮なものはよく読まれます。言われてみればその発想はそうだ、という。めちゃくちゃあるあるで、子育てしてれば全員が体験しているんですけど、その中で同じ体験をしたのに、その気付きはなかった、という発見が鮮明な記事は読まれやすいです。

イヤイヤ期の娘を見てふと気がついた。私にあって、娘にないもの | Conobie[コノビー]

イヤイヤ期の娘を見ていてふと感じたことを描いてみました。

conobie.jp

 
例として言及されていたのはキノさんが書かれたこちらの記事。イヤイヤ期なんて誰にでもあるけれど、それをそう捉え直したのか…!という驚きと発見を以てPV数を伸ばした。

もう1つは語りたくなる記事。例えば、母の日に関連する記事は毎年評判がよくて、実母や義母とのエピソードが書かれることが多いのですが、こういった記事はSNSで読んだ人が、自分のエピソードを乗せて拡散したくなります。自分の記憶の追体験をして、合わせてSNSに投下したくなるので、拡散されやすいんです。夫婦関係の記事もそうです。「分かる、私もあのとき」って言いたくなる。

 

- Conobieの世界観と広告って、一見アンマッチにも見えますが……
クライアントの伝えたいことを自然に伝えるのに、Conobieというメディアは向いていると思ってて。例えば、製品の高性能さを前面に押し出した広告にしたければ、ハウツー記事の多く掲載されている中に掲載したほうが、読者も自然に受け取ると思いますが、多くの場合はストーリーありきで売りたいことが多いんですよね。日常の等身大の悩みに対して、解決策として商品を提案するようなストーリーありきの売り方は、Conobieみたいなメディアでやりやすい。機能とか性能とかの切り口ではなく、普段の生活で読者自身もあまり意識していないような不便に、エピソードで共感を得て、実際に製品を導入したときに生活がどう変わるのか可視的にイメージできるのが強みです。

意外と多い!?産後ママのおしりの痛みやトラブルには早めの対処を | Conobie[コノビー]

産後トラブルで悩むママに知ってほしい!今回のテーマは「おしりのトラブル」!

conobie.jp

 
天藤製薬株式会社様とのタイアップ記事。好評のため、強化掲載期間延長のリピートをいただいた。Conobieの漫画タイアップ記事は、漫画としても純粋に面白く楽しめる。

Conobieの場合、編集部記事と広告を作っているメンバーの役割をきっちり分けていないので、Conobieのトンマナを理解している編集者が担当するからこそ、編集部記事と広告記事の世界観が揃っているのだと思います。広告も含めてConobieというメディアのコンテンツなので、世界観を統一することは重要だと思いますね。

 

- 最後に、メディアとしての今後の展望を聞かせてください!

まだまだサイト規模は大きくしたいです。
自信をもって制作しているコンテンツだからこそ、「いまだけの育児」をしている「誰かのいま」に届けたいですね。そのためには、既存のコンテンツのブラッシュアップと、新規コンテンツへの挑戦を同時並行ですすめていきたいです。
多様なつよみをもったメンバーが、お互いを尊重しながら働いている、コノビー編集部だったら、「できる」と私は考えています。

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