「パパママに寄り添い、不安を和らげる記事を届ける」人気連載編集者がコンテンツ制作で大切にしていること(後編)

前編では、『「小1の壁」のむこうに』が生まれた背景や連載開始までの経緯、実際に企画がスタートしたところまでをご紹介しました。当初は20話で終わる予定が、「連載の途中でその後のストーリー展開に大きな影響を与える出来事があった」ことで最終的に44話、連載期間9ヶ月の長期連載となりました。一体何が起こったの気になりますよね! さっそく、担当編集である浦脇と編集長の瀧波に聞きました。

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読者からの反応が転機に繋がった

浦脇:
大きな転換点となったのは、16話目の「『鬼しかやらせてもらえない…』友達関係に悩む娘に、どう声をかければいいだろう」という記事でした。友達同士で鬼ごっこをしたとき、鬼の役割を無理やりさせられて複雑な思いを抱く女の子・葵ちゃんについて描いたお話です。

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同じマンションに住む友達・レイナちゃんから鬼役を押し付けられるも、「嫌だ」が言い出せない葵ちゃん

浦脇:
鬼の役割を押し付けられるって、私は記事内での設定であって、現実にこのようなことがあるなんて思っていませんでした。なので、公開後にSNSで寄せられた「うちの子も同じようなことがある」や「我が家の場合、親がこういう対応をした」といったコメントを見て、驚いたことを覚えています。「葵ちゃん頑張れ」といった応援コメントもありました。

さらに次の17話目では、葵ちゃんママが悩める娘に取った行動が描かれています。悶々とした末に、葵ちゃんママはどんなアクションに出たと思いますか? 彼女は娘と一緒にお風呂に入ったとき、「そのままのあなたが好き」と伝えてギュッと抱きしめたんです。読者からは、「そんな対応があるなんて知らなかった」と前向きなコメントが寄せられました。

人にフォーカスし、「この人は今後どうなっていくのだろう」を描いていく

子どもが友達関係で悩んだら……。我が子に「こうしなさい」と諭したり、仲間外れにした子どもの親に対して抗議をしたりと、親としては解決に向けて動きたくなるかもしれません。でもあえて友達同士の関係に介入せず、子どものありのままを受け入れる姿勢を見せた葵ちゃんママの行動には心を打たれます。この16話目と17話目以降、浦脇ととげとげ。さんは思い切った決断をします。

浦脇:
とげとげ。さんと、連載の流れを事実ベースから人物ベースに変えたらどうかと話すようになりました。連載がスタートしたばかりのころは、「友達同士で待ち合わせができない」や「夏休みの過ごし方」といった、小1の壁で起こりえる困りごとをトピックとし、記事でその解決策を提案するスタイルで描いていました。そうではなく、登場人物の〇〇さんにフォーカスして、その人物が今後どうなっていくのかに視点を変えたのです。今回の場合、17話まで読んだ人は、お友達付き合いの悩みに対するアプローチよりも、葵ちゃん親子の今後が気になると考えるのが自然です。

20話完結予定の連載のうち8割が完了した段階でのストーリー変更とは大胆すぎます。でも記事の描き方を見直すとなると、話数は増えるし、連載期間も延びることに。このことを瀧波さんに相談したところ、OKが出ます。柔軟な対応である一方で、予定変更となると予算も増えますし、簡単に判断できないのではないかと思うのですが、その辺のところはどうなのでしょうか。

瀧波:
もちろん予算の都合があるので、話数を増やすことについて必ずしも全ての提案に応えられるわけではありません。『「小1の壁」のむこうに』ついては、これまでの反響を踏まえてOKしました。とげとげ。さんと浦脇さんチームなら、素晴らしい記事を作ってくれると信頼していましたから。

ストーリーが決まっていたのは1話先までだった

しかし、ここで気になることがあります。話数を増やすということは、プロットも書き直さないといけません。すでに連載が走り出している状況で、どのようにプロットの書き換えを行ったのでしょうか。

プロット
記事の大まかな流れのこと。通常はプロットを作ってから制作に入ります。連載では、第1話、第2話のように話ごとのテーマと構成を決めておくことでスムーズな制作ができます。

浦脇:
実は転換を決めたあとは、プロットを作ることなく制作を進めていました。展開が決まっているのは、せいぜい1話先まで。とげとげ。さんも私も連載の記事づくりでは「小1の壁をリアルに描く」、つまりリアリティを一番大切にしていました。リアリティで言えば、実際に小1の壁に出くわしているパパママはとにかく目の前のことに必死だと思うんです。図らずも、私たち制作側もそうした親御さんと同じような状態で連載を作っていましたね。

リアルな記事を作るために、読者からの反応を知ることは重要です。お互いに記事公開後に寄せられるコメントをチェックしていました。またとげとげ。さんとは月に1度、3時間ほどのオンライン打ち合わせをして、情報交換とアイデア出しを行い、記事に反映していきました。

こうした地道な努力のもとで、『「小1の壁」のむこうに』には、新型ウイルスによる在宅勤務やそれに伴う生活の変化、オンラインサービスの登場など、時の流れが適切に反映されていました。こういった描写はまさに多くの子育て世帯のリアルを映し出しており、読者からの共感を得る連載に発展していきます。

ワーママ、専業主婦、シングルマザー。それぞれに合った解決策がある

子育てをテーマにした記事では、無意識のうちに「こうあるべき」という先入観や押し付けが出てしまうおそれがあります。特に小1の壁においては、家庭によって何が壁になるかが違ってきます。浦脇が記事制作をするうえで、心がけていることは何だったのでしょうか。

浦脇:
リアリティとともに重視したのが、フラットな視点です。育児系のコンテンツでは、「私はこうしたので、あなたも同じようにすべき」とか「この方法が一番いい」のように、本人にその気がなくても読者からすると上から目線のアドバイスになってしまうリスクがあります。それはコノビーの世界観にふさわしくありませんし、読者を不快にさせてしまうおそれもあります。このフラットな視点での記事作りは連載に限らず、体験談記事でも重視していることです。コノビーの編集者は全員がその考えを持っています。

「小1の壁のむこうに」の4人の登場人物は、ワーママ、時短社員、専業主婦など、それぞれ置かれた立場も家庭環境も違います。つまり、4人4様の「壁」があり、アプローチの仕方も異なるのが自然なのです。小1の壁の解決策は一つだけではなく、人によって違いますし、そもそも正解はないんです。私たちが伝えたかったことは、そのことです。

体験談記事
連載と違い、1話で完結する記事のこと。たとえば、ライターが日々の育児で感じたことやトイトレや離乳食の思い出などが描かれています。

連載の途中では「これからどうなってしまうのだろう…」や「子どもが小学生になったら親は大変すぎる…」のようにハラハラする場面がたくさん出てきます。しかし、終盤に向かうにしたがって、4人が「壁」の正体に気づき始め、適切なアプローチ、そしてこの先の生活を見出していく展開に変わります。

浦脇:
「壁」とイメージするとなんだか圧倒されて、自分には絶対に乗り越えられないイメージを持ってしまうかもしれません。でも「壁」をもっと詳しく見ていくと、実はステップではないかと思うんです。考えてみてください。パパママはこれまで受験、就職、婚活、結婚、妊娠出産、保活のようにさまざまなステップを踏んで現在に至っています。小1の壁もこうしたステップの一つだととらえれば、「想像していたよりも怖くないかもしれない」と思えそうです。そんな気持ちをもとに、記事では「きっと大丈夫」という前向きなメッセージで結んでいます。子育てでは楽しいことも、大変なこともあります。私も子育ての当事者の一人として、読者に寄り添った記事を作っていきたいと思います。

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編集後記

人気連載『「小1の壁」のむこうに』の制作過程を通じて、コノビーがコンテンツ作りで大切にしていることをご紹介しました。担当ライターさんとの信頼関係があり、ライターさんの個性を理解していたからこそ、「このテーマはこの方に執筆をお願いしよう」と判断できますし、普段からフラットな視点で記事制作をしているからこそ、小1の壁というとらえづらいテーマでも読者からすんなりと受け入れられ共感を得られる内容で連載を描けたのでしょうね!

ストーリーの方針を転換した後はプロットなしで進めたことには驚きでしたが、それは決して、ただ思いつきで描くという意味ではありません。「小1の壁をリアルに描く」ことを大切に、記事の反応チェックや情報交換をし続けることで、パパママの実情に沿った記事が仕上がりました。また、在宅勤務やオンライン教育をはじめ、世相を反映した生活が表現されているのも、初めからプロットを固定せずにいまを柔軟に取り入れたからこそ。リアリティ満載でありながら、「こうあるべき」の押し付けがないので、読んだ後に心地良さを感じたのだと思いました。

(文 そのべゆういち)

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