子どもへのお金の教育、「未就学児から始めたい」パパママも

2022年度から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられ、契約を一人でできるようになります。10年ぶりに改訂された「学校学習指導要領」では消費者教育の充実が図られ、2022年4月からは高校の家庭科で、投資や資産形成の授業が始まります。

政府統計や民間企業の調査結果から現代育児をするパパママの動向を考察していくシリーズ、今回は「子どものお金の教育」の現状と今後について見ていきましょう。

学校でお金の教育を受けたと認識している人は、わずか7%

お金の教育支援を行う「金融広報中央委員会」は、18歳以上のお金の知識を把握する目的で「金融リテラシー調査」(2019年)を実施しました。調査の対象となった2万5000人のうち、「学校において、家計管理や生活設計に関する授業などの『金融教育』を受けたとの認識がある」と答えた人は、わずか7.2%。「受ける機会はなかった」は75%に上っています。

金融教育を受けた割合

教員でも「学校で金融教育を受けた認識がある」と答えたのは、9.7%のみ。今後生徒に金融経済の授業をするのであれば、まず先生たちが知識を得る必要がありそうです。また、「家庭で『お金の管理』といった金融教育を受けた」との認識がある人は20.3%と、家庭でのお金の教育不足も課題です。

約7割が、学校で「お金の勉強をすべき」と感じている

こうした状況の中、学校におけるお金の教育が必要だと考える人もいます。「家計管理や生活設計についての授業などの『金融教育』については、『行うべき』と回答した人は 67.2%に上りました。

金融教育を求める声
現に、お金の教育を受けたり、知識を持っていたりする人ほど、長期的にお金の計画を立てる、金融経済情報への接触頻度が高い、家計管理がしっかりしているといった傾向があります。
もちろんお金が人生のすべてではないものの、お金があることで回避できるリスクはあります。いざという時に困らないよう、小さいうちから子どもがお金の勉強をする機会を得るのは大切なことですね。

資産運用や投資の教育に関心

パパとママは、子どもへのお金の教育についてどう思っているのでしょうか。

イー・ラーニング研究所は昨年11月、子どもを持つ10代~50代の男女216人を対象に実施した「2020年子どものお小遣い・金融教育に関する調査アンケート」の結果を発表しました。その中で、「子どもの金融教育を行っていますか」の質問に対して、77.8%が「いいえ」と回答しています。

前章で触れた金融リテラシー調査結果にも通じますが、親が学校や家庭でお金の知識を得る機会が少ないため、自分の子どもに対してどのようにお金のことを教えればいいのかわからないことの表れと言えそうです。

子どもにしたい金融教育

子どもへの金融教育が必要な時期については、「小学校低学年」(90人)が最も多く、「小学校に入るまで」(60人)が続きました。全体の約7割にあたる150人が、「遅くとも小学校低学年にはお金の教育が必要」と考えています。金融教育で特に学ばせたいことは「資産運用」(157人)や「投資」(102人)が多く、「貯金」はわずか78人でした。ほかには「キャッシュレス決済」(82人)や「仮想通貨」(91人)など、時世を反映した項目も見られました。

お金の計画をしっかりと立てられる人に

資産運用や投資と言えば、冒頭でご紹介した通り、2022年4月から高校の家庭科の授業での学習がスタートします。2018年に文部科学省が告示した「高等学校学習指導要領解説【家庭編】」には、次のような一文があります。


「生涯を見通した経済計画を立てるには、教育資金、住宅取得、老後の備えの他にも、事故や病気、失業などのリスクへの対応策も必要であることについて理解し、預貯金、民間保険、株式、債券、投資信託等の基本的な金融商品の特徴(メリット、デメリット)、資産形成の視点にも触れながら,生涯を見通した経済計画の重要性について理解できるようにする」(出典:平成30年告示、文部科学省の高等学校学習指導要領解説【家庭編】)より

決済方法は現金のほか、クレジットカードや電子マネーなど多様化しています。また金融商品にはたくさんの種類があるので、良し悪しを判断するためにもお金の知識は求められます。成年年齢が18歳になり、保護者なしで契約ができるようになっていくからこそ、学生のうちから家計管理や資産形成の方法、経済の仕組みの勉強をすることが大切なのですね。

パパママが行っているお金の教育とは?

コノビーでも、子育て中の「お金」にまつわるエピソードを集めた「子育てと教育のお金特集」を行いました。
パパとママであるコノビーライターが、子どもに実際に行っている、または今後したいと考えているお金の教育法を紹介しています。

「"たった"100円」という娘。お金の大切さを教えるために母がしたこと。 | Conobie[コノビー]

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我が家流「お金のおべんきょう」長女がゆでたまご屋さんを開業してみて気づいたこと。 | Conobie[コノビー]

在宅で仕事をしているとき、どうしてもちょっかいを出してくるのをやめられない長女。なぜお仕事するのか知って欲しくて「お金を稼ぐことの仕組み」を、自分なりに伝えてみました。

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1歳から考えるお金の教育。失敗してもいい、上手に使える人になって欲しい。 | Conobie[コノビー]

今回は特集記事にお誘いいただきましてお金の話です。 まだ息子は1歳なのでまだまだ先の話ですが、お小遣いや金銭感覚について 夫と話した時のことを描かせていただきました!

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このように、成年年齢の引き下げを受けて、お金に関する学校教育が変わろうとしています。
子どもが小さいうちからお金の知識を身に着ける方がいいとわかっていても、金融や経済の仕組みは複雑ですし、そもそも用語がわからないことも。「難しそう」と構えずに、本を読んだり、ゲームをしたりと、遊びを交えつつ親子が一緒に、お金について学んでいける方法が必要になっていきそうです。

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