「家族揃って夕食」「子どもの成長を見守れる」コロナ禍でパパママの生活はどう変わった?

4月25日には、4都府県に対して再度緊急事態宣言が発出されました。いまだに収束しない新型コロナウイルスの流行下で、パパママの暮らしにはどのような変化が起こっているのでしょうか。複数の民間企業の調査結果から考察します。

夫婦ともに家事・育児時間は増えるも、妻が多く担う傾向

まずは、野村総合研究所が昨年5月に新型コロナウイルス対策緊急提言として発表した「子育て家庭におけるサービスニーズの変化」から。調査対象は、全国に住む15~59歳の男女2064人で、このうち子育て負担が最も強い小学生以下の子どもを持つ353人を「子育て中の男性・女性」と定義しています。

「新型コロナウイルス感染拡大前と比較した1日あたりに家事・育児に費やす時間の変化」を聞くと、69%が「増加した」と答えています。うち27%は「2時間以上増えた」といいます。

家事育児時間のグラフ家事・育児に充てる時間はどう作っているかについては、夫婦ともに「自分の余暇時間を削った」がトップですが、女性が78%、男性が47%と回答率にはギャップがあります。ほかに夫婦間で回答率に差が見られる項目には「パートナーが時間を増やした」(男性:31%、女性:10%)、「パートナー以外の親戚・知人・友人などのサポートを増やした」(男性:3%、女性10%)があります。新型コロナウイルスの流行で夫も妻も「家事と育児は夫婦で平等にすべき」との考えを強めているものの、実際には妻側に負担が偏っています。

パパママともに「オンライン学習支援サービス」に関心。ママは「食材等の宅配サービス」の利用意向が高い

「家事・育児の負担を軽減するサービスについて新型コロナウイルス感染拡大の影響下で利用意向が高まったもの」を聞いたところ、「子供に見せる用途での有料の動画配信サービス」(27.5%)、「オンライン学習支援サービス(国語・算数などの五教科)」(22.1%)、「食材等の宅配サービス(生協など)」(20.7%)など、おうち時間を楽しんだり、ネットでやりとりがほぼ完結したりするサービスへの興味が高まっています。学習についても、オンラインで行う学習支援にパパママは関心を寄せています。

家事育児関連サービス

回答を夫婦間で比較すると、男性は先に紹介したほとんどのサービスで利用意向が強い一方で、女性では「食材等の宅配サービス」を挙げる人が目立ちます。消費行動の意識についても夫婦間でギャップがあります。女性は「とにかく安くて経済的なものを買う」(女性:65%、男性:39%)、「できるだけ長く使えるものを買う」(女性:66%、男性:44%)の回答率が約7割に上りますが、男性は約4割にとどまっています。女性はコスト重視の傾向が強いことがうかがえます。

在宅勤務によって、睡眠時間が長く取れるようになった

続いては、旭化成ホームズが今年4月に発表した「在宅ワークにおけるくらしの現状」(調査は昨年9月に実施。夫妻どちらかが在宅ワークをしている1492人が対象)の結果を見てみます。この調査では、在宅勤務がパパママの暮らしに与えた影響にフォーカスしています。

出勤日と在宅勤務日で夕食開始の平均時刻を比較すると夫は66分、妻は39分早まっていました。夫のこの傾向は長子が幼児、小学生であるほど顕著です。通勤や退社後のつきあいなどがなくなった分、家族と一緒に夕食をともにできるようになったと考えられます。

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在宅勤務では通勤が不要のため、起床時間も夫妻ともに約30分遅くなり、より長い睡眠時間を取れるようになっています。朝といえば食事に子どものお世話、自分の身支度とバタバタしがちですよね。在宅勤務にシフトし、朝のタスクが減ることで時間的なゆとりが生まれ、子育て世代の忙しさが緩和していると言えそうです。

在宅勤務を取り入れるようになると、住環境への関心が高まります。家づくりの際に在宅ワークを想定していた割合は、2018年の引き渡しまでは2割程度だったものの、2020年では4割近くまで上昇しています。家づくりや物件探しにおいて、仕事スペースの有無の重要度が増してきています。

対面でのコミュニケーションが制限され、孤独を感じることも

生活習慣の変化による前向きな動きが見られる一方で、課題も浮き彫りになっています。江崎グリコが昨年9月に発表した「コロナ禍における出産と子育てに関するアンケート」(妊娠中および0〜2歳の子どもがいるパパママ600人が対象)では、「コロナ禍の子育てで孤独を感じている」と答えたママが約7割に上っています。「地域のコミュニティに参加できない」「ほかの子育て中のお母さんと交流できない」ことが主な理由です。

コロナで孤独感
またミキハウスが今年2月に発表した「コロナ禍の子育てリアル調査」(「ミキハウス ベビークラブ」会員のうち、子どもがいる人と調査時点で妊娠中の人7600人が調査対象)でも、「家族以外の人とのコミュニケーション」に悩みを感じると答えたパパママが61.0%いました。

在宅時間の増加によって、パパとママの中には「家」を生活の中心にする人がいます。こうした状況でパートナーや家族との会話が増えたり、子どもの成長を見守れたりする利点を感じる一方で、不要不急の外出を控えることによって外界との接触機会が減ってしまい、孤独感を抱く方も少なからずいることがわかりました。

対面でのコミュニケーションが制限される中、オンラインで悩みを相談できたり、人と繋がれたりするサービスがますます求められていくのではないでしょうか。また、先にご紹介した通り、おうち時間で増しつつある家事・育児の負担を軽減する便利家電や宅配サービスなどの需要も高まっていきそうですね。

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