同調査では、0歳児を育児中の25歳~39歳の男性590人に、育児参加への意欲や育児の実態などに質問しています。育児参加への理想と現実を見ると、「希望として積極的に育児に関わりたい」の回答率は97.0%だったのに対し、「希望通り関わっている」(「希望以上に関わっている」と「希望と同じくらい関わっている」の合計)は79.2%と、約8割のパパが理想を叶えていることがわかります。在宅勤務ができるパパであれば、以前よりも育児に時間を充てられるようになったことが好影響していると言えそうです。
一方で思うように育児に関われていないパパが挙げる理由のトップ3は、「育児に時間を割くと収入が下がるため」(36.6%)、「育児のために休んだり、早く帰りづらい雰囲気がある」(31.7%)、「自分の仕事を他の人に任せることができない」(27.6%)でした。家庭を優先しづらい職場の空気や家計の心配が、育児への関わりづらさの原因となっていると考えられますね。
ほかには「妻との分担がうまくいかない」(11.4%)、「勉強できる場がない」(6.5%)など夫婦間のコミュニケーションに悩んだり、育児の知識を学ぶ機会不足を訴えるパパもいました。これらの課題を解決できれば、パパが育児をしやすくなるのかもしれません。
パパは普段どのような育児をしているのでしょうか。最も多いのは「(自宅の中で)あやす・遊び相手」(93.4%)で、「おむつ交換」(89.7%)、「お風呂に入れる」(86.1%)、「着替え」(70.5%)が続いています。一方で、「通院・予防接種」(25.8%)や「離乳食の準備・支度」(18.5%)、「保育園の送迎」(12.7%)など、時間的な制約が生じる項目に消極的です。通院も予防接種も仕事の調整が必要なので、前述のように職場の空気を気にして関われないものと思われます。
育児の中で難しい・難しそうだと感じることについては、「夜泣き対応」(57.3%)、「寝かしつけ」(47.1%)、「離乳食の準備・支度」(37.5%)が上位にランクイン。子どもの睡眠や食事関係は育児タスクの中で頻度も重要度も高いですが、これらの負担はママに偏っています。パパの苦手意識を改善することで、夫婦の分担がうまくいくかもしれません。
育児情報の入手先については、「妻の意見」(89.5%)がトップでした。ママ任せと捉えることもできますが、別の見方をすれば普段から育児について夫婦間で密なコミュニケーションを取ることで、パパがママの希望に応えてくれる可能性もありそう。2位は「両親・親族の意見」(57.8%)、3位は「ネット検索(Google・Yahoo)」(53.9%)でした。一方で「子育て雑誌」(13.1%)や「地域子育て支援センター等」(15.4%)など、書籍や地域の子育て関連施設はあまり活用できていません。子育てに関する書籍、雑誌を読む習慣があまりないことや時期的に不特定多数が集まる場所に行きづらいことも影響しているのではないでしょうか。
育児についてもっと知りたい情報には「けが、発熱などの応急処置」(55.8%)、「栄養の知識」(52.2%)、「寝かしつけの方法」(48.0%)、「あやし方、遊び方」(43.7%)などが挙がっています。
最後に視点を変えて、これまでご紹介したパパ育児のリアルについてママにどう感じたかを聞いてみました。
「希望通りに子育てに関われているパパが多いのはいいことだと思います。実際に私の夫はリモートワークをするようになってから家事と育児に積極的になってくれました」
「休日にパパが子どもと遊んだりおむつを交換できたりすれば、ママは一人時間がとりやすくなるメリットがあると思う」
など結果を評価する声が挙がる一方で、
「寝かしつけや夜泣き対応をパパができたら、ママはその間に家事や休息、勉強などいろんなことができると思います。子どもの体調や気分によっては1時間以上寝ないこともあるので、ストレスになりますから」
「育児の情報源のトップが妻の意見なのですね!パパも自分には何ができるかを自分から調べる積極性はほしいと思いました」
と、「パパ、もうちょっと努力して!」との意見も見られました。
ほかには、「社会的にはまだまだ『子育てはママがするもの』との考えが強いように思います。その中でパパが子育てに関わりにくい気持ちはわかる。無理に育児をして収入が下がるのも困るので、個人が上手に仕事と家庭のバランスを取れるのがベストですね」や「たしかにパパがパパになるために必要な学習をする場は少ない気がします。学びの場が増えたらパパが『自分にはこんなことができるのか』と思ってくれるのかもしれません」といったコメントも寄せられました。
(文:そのべゆういち)