ママが防災備蓄で困ること「何をどれだけ買えばいいかわからない」「コストがかかる」

台風による風水害や地震による被害がしばしば起こりますが、中には避難所での生活を余儀なくされるケースもあります。このように被災の可能性は決して他人事ではなく、防災への意識を持つことは非常に大切です。9月1日の防災の日を前に、ママが防災グッズや防災食(非常食)防についてどのような課題を感じているのかやコスト感、感染症対策グッズの備えなどについて複数の調査結果から見ていきます。

家族全員が3日以上暮らせる量を備えているのは、約1割

まずはミドリ安全株式会社が今年3月に発表した「家庭での防災への取り組みや防災食(非常食)の備えについての実態調査」から。下のグラフは、子どもと同居している20歳から49歳のママ800人に「災害対策のための防災食(非常食)を自宅に備えているか」を質問し、その答えをまとめたものです。

出典:ミドリ安全株式会社「家庭での防災への取り組みや防災食(非常食)の備えについての実態調査」より

最新の結果である2021年調査部分を見ると「防災食(非常食)を少しでも備蓄している」と答えたママは49.7%。内訳は「家族全員が3日以上対応できる量を備えている」(12.9%)、「家族全員が1~2日対応できる量を備えている」(23.8%)、「備えてはいるが、家族全員が1日以上対応することはできない」(13.0%)となっています。

災害が発生してから救助体制が整うまでには3日はかかると言われていますから、家族全員が3日以上食に困らない量の備蓄ができている世帯は1割強ほどしかいないことになります。一方で「自宅に防災食を全く備えていない」(46.3%)も約半数に上っています。

防災食の必要性はわかっていても、備えるのを忘れてしまう

防災食の備蓄をしない理由の上位には「何を備えてよいか分からない」「備えたいがつい忘れてしまう」「お金がかかる」「保管スペースがない」が挙がっています。

出典:ミドリ安全株式会社「家庭での防災への取り組みや防災食(非常食)の備えについての実態調査」より

育児中は目の前のことで忙しいので、非常時の備えまで思うように手が回らないのが実情ではないでしょうか。そう考えると、そもそも「何を用意するか」を細かく考える手間を省ける防災セットのような商品はママにとって嬉しいグッズと言えそうです。

防災食(非常食)を日常的に食べ、その分を買い足して常に新しい食料を備蓄する「ローリングストック」の実施については、「知っており現在実施している」と回答したママはわずか17.1%。せっかく用意していても、いざというときに期限切れで食べられないでは備蓄の意味がなくなってしまいます。こうした事態を避けるためには、定期的に新しい防災食が自宅に送られてくるサブスクサービスが役立つかもしれません。定期配送されることで古い防災食を消費するきっかけにもなります。

感染対策グッズはマスクや除菌シート、アルコール消毒液が人気

新型コロナウイルスをはじめ感染症は防災対策にどのような影響を与えているのでしょうか。「避難用の持ち出しバッグのように、災害時にすぐに持ち出せる避難グッズを少しでも用意している」と答えたママ494人(全体の61.8%)に「備えている感染対策関連グッズ」を聞くと、以下のような回答となっています。

出典:ともにミドリ安全株式会社「家庭での防災への取り組みや防災食(非常食)の備えについての実態調査」より

1位は「マスク」(73.7%)で、2位の「除菌シート」(60.9%)や3位の「アルコール消毒液」(58.3%)に10ポイント以上の差をつけています。一方で「ハンドソープ・石鹸」(41.1%)、「体温計」(40.7%)、「上履き・スリッパ」(40.3%)などの備蓄は少ないことがわかります。

また感染拡大を防ぐ目的で避難所以外の場所に避難をする「分散避難」という方法があります。たとえば「親戚・知人宅」「ホテル」「在宅避難」「車中泊」といった選択肢を取ることなのですが、「分散避難の実施方法まで内容まで知っている」と答えたママは約1割ほど。調査対象者のほぼ全員が、分散避難をよく知らないのが実情です。

防災食や防災グッズについてのママのコスト意識は高い

続いては、ママ向け防災メディア「いつもしも」を運営するTAG株式会社が昨年12月に発表した「防災アンケート」結果から、防災グッズの選び方やコスト意識について見ていきます。

ママ100人に防災で困っていることを複数回答で聞くと、「どのくらい買ったらいいのかわからない」(68%)が最も多く、「賞味期限を切らしてしまう」(56%)や「見直しが大変」(52%)などが上位に挙がっています。

しかし同じ質問を単一回答で聞くと、複数回答では5位だった「お金がかかる」が1位でした。食費や教育費などで普段の生活にお金がかかる分、非常時にしか使わない防災食、防災セットに対するママのコスト意識は強いようです。そのことは「防災食を買ってもいいと思える金額」にも現れています。下の図をご覧ください。

出典:ともにいつもしも「防災アンケート」結果より

「非常食単体」「非常食セット」「防災グッズ単体」「防災セット」の4つに分けて購入に対して許容できる金額を聞くと、「非常食単体」では500円未満が45%、「非常食セット」では2000円未満が50%を占めています。一方で「防災グッズ単体」では2000円未満が56%、「防災セット」では3000円未満が50%と、非常食よりはお金をかけても良いとママは考えていることがわかります。

ネットよりも現物を見てから購入したい

防災グッズと非常食の選び方はどうでしょうか。「スーパーで見る」(61%)や「ホームセンターで見る」(47%)など、商品を実際に手に取りたいと考えるママが多いことがわかります。一方で「ショッピングサイトを検索する」や「防災サイトでお勧めを見る」などオンラインで選ぶと答えたママは約2割にとどまっています。

出典:ともにいつもしも「防災アンケート」結果より

防災グッズや非常食は日用品ほど目にする機会がないことから、実物を見て購入を決めたいとママは思っているようです。たしかにネットの情報だけでは商品の大きさや重さをイメージしづらいものです。ママのこうした行動は、購入を失敗して余計なお金を使いたくないというコスト意識の反映とも考えられそうですね。

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