サラヤが語る、タイアップ記事の効果を最大化するメディアとの付き合い方

消毒剤や洗浄剤、医薬品、食品を製造する化学・日用品メーカーのサラヤ。ママ層向け商品である『アラウ.ベビー』ブランドの認知を広げようと、「コノビー」の漫画広告を連載形式で活用。継続的な漫画施策で、子育て世帯への商品理解度を向上させた。その取り組みについて、同社の廣岡竜也様にインタビューした。

企業の思いに共感してほしい。それが、広告施策の基本理念。

コノビー渡辺(以下渡辺):今日はよろしくお願いします。まずは、コノビーでお取り組みをさせていただく前、どんな広告施策をされていたのかということから伺えればと思います。

廣岡様:いろいろな媒体でお取り組みをしていましたが、商品を説明する内容のタイアップが中心でしたね。

渡辺:もともとタイアップには数多く取り組んでいらっしゃったんですね。

廣岡様:はい。そもそもうちの会社が手がけている商品って、競合に大手企業さんが多いんです。その中で、イメージ戦略だけで買ってもらえるほど、企業としても商品としても有名ではない。そういう状況を分析した上で、広告費を大量に投入して勝っていくというような闘い方はできないし、しないという方針にしたんです。

渡辺:そこで、商品を理解してもらうためのタイアップ、と。

廣岡様:私たちが手がけているのが、どういう商品なのか、企業としてどんな思いを込めて作っているのか。それを一つずつ丁寧に説明して、理解いただいた方にチョイスしてもらう。情報を確実に届けるために、コノビーさんと取り組みを行う前の時期は、雑誌とWeb半分ずつくらいで取り組みを行なっていました。

渡辺:雑誌もかなり多く取り組まれていらっしゃいますよね。

廣岡様:はい。今って、情報が無料で手に入る時代だと思うんです。でも雑誌を購入する方は、わざわざお金を出して買う。いわば意識が高い層であるという認識があったんです。無料で出された水は残すけど、自分でお金を出して買った水は最後まで残さないじゃないですか。

渡辺:分かります。(笑)

廣岡様:とはいえ、時代的にはWebが多くの顧客の方と接触するタッチポイントになるので、雑誌一本でやるという感じではなく。それに加えて、商品の認知もだんだん広がって来て、ターゲットとなる層も広がって来ました。今までは山の頂点にいるような、限られた少人数にアプローチしていたのが、麓に降りて属性が違う人たちにも接触する必要が出て来たんです。

渡辺:時代の流れとともに、御社や御社の商品が置かれている環境、闘っていく場所というのも変わったんですね。

廣岡様:その通りです。でも層が広がったからと言って、伝えたいことが変わったわけではありません。今までわたしたちが伝えてきたことを、新しい層の人たちにも丁寧に伝えていく。そのために必要な伝え方を考えていた頃に、コノビーさんからご連絡をいただいたんです。

 

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漫画やイラストは、伝えたいことを効果的に伝える手段の一つ。

廣岡様:Web、特にスマートフォンで記事を読む時には、スクロールで流れてしまうのでテキストだけだと厳しいなと。その中で、漫画やイラストでキャッチーに見せるのが有効かもしれないと、普段からメディアに触れる中で気づきました。

渡辺:大量の文章を読むという機会自体が少なくなっている読者の方もいらっしゃいますからね。

廣岡様:そうなんです。漫画やイラストって、一見すると軽い印象を持つかもしれないんですが、自分たちが伝えたいことを伝えるための手段であるという点については、テキストや写真と変わりないんですよね。自分たちの伝えたいことがきちんと表現できているかということはもちろん、届けたい相手に合った伝える手段かということも重要です。特に私たちの商品のターゲットとなるママ層に対しては、テキストだけの情報より、漫画やイラストを交えた方が伝わるんじゃないかと。

渡辺:コノビーも、漫画やイラストを使って表現しているメディアのひとつとして、ご覧いただいていたんですか?

廣岡様:はい。職業柄、普段からママに近いような育児関係のサイトなどを見ていたので、ターゲティングされていたんでしょうね。

渡辺:なるほど。じゃあ、スマートフォンの中でうまく見せるためのやり方を模索していて、その中で漫画やイラストが良さそうだという仮説を持っていた頃に、コノビーから営業に行った、と。ナイスタイミングだったんですね。

廣岡様:まさに。(笑)自分の手元に上がって来ているメディアで、普段から目にしていたので抵抗はなかったです。それに大阪まで来てくれたというのも大きかった。弊社はビジネス街にあるわけではないので、そこをわざわざ来てくれたというのは嬉しかったですし、意気込みも感じました。

渡辺:営業が息巻いていたのを僕も覚えています。(笑)

 

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初めは親しみやすいキャラクターで。何を伝えたいかに合わせて考えた。

渡辺:制作に入ってから、最初にお話ししたのはどういうキャラクターを登場させようか、というお話でしたよね。僕から最初に出させていただいた企画書には、「5人の戦隊レンジャー」とか藤子不二雄Ⓐの「笑ゥせぇるすまん」から着想を得た「洗うせぇるすまん」とかいて。(笑)

廣岡様:ありましたね!会社全体を見ての提案ということで、こういう提案もあるんだなと感じました。弊社全体を見ると、いろんなブランドがありますから、5人のレンジャーとかを提案して広がりを見越してくれたのかな、とか。一方で、伝えたいことがより明確になって、ブランドとかターゲット層とかが絞られたら、どういう風になっていくのかと思って、別案をお願いしたんです。

渡辺:そこでライターの丸本チンタさんにも入っていただいて、「モコモコおばさん」の原型となる、おばちゃんキャラクターが生まれましたね。

廣岡様:そうそう。大阪の会社ってこともあって、ヒョウ柄の服を着た、THE・大阪のおばちゃん!って感じのテイストをあげていただいたと思うんですけど、会社が大阪にあるかどうかってお客さんには関係ないから止めよう、と。

渡辺:最終的には泡をイメージした髪型と、サラヤさんの商品パッケージを参考にしたピンクの服装のおばちゃんに落ち着きました。

廣岡様:クセがあるキャラクターってフックにもなるんですが、一方で嫌われてしまう可能性もあります。リスクヘッジした印象はあるんですが、やはり1回目のトライだったので、より親しみやすいキャラクターに落ち着きました。結果的には、クセが強いキャラクターではないけれど、かといって平凡ではない。バランスの良さを感じるところにまとめていただきました。

渡辺:今回、ライターの丸本チンタさんも実際に打ち合わせに同席いただくなど、かなり頑張っていただきました。その甲斐あってか、丸本さんのデザインだからこそ「モコモコおばさん」が説明する部分が説教くさくならなかったのかも、というのがあります。

廣岡様:そうなんですよね。ターゲット層になるママ・パパは自分のお母さんと同居していない方も多い。そういう子育ての先輩がいない環境のママたちにとって、「モコモコおばさん」が仮想親になってくれたと思います。別のキャラクターデザインだと、「このキャラにこれを言わせるのはキツイかも…」と思うことがありましたし。

渡辺:なるほど。確かに伝えたいメッセージによって、どんなキャラクターに言わせるのがいいかというのは変わってきますね。

廣岡様:今やっている「むてん先生」が言っているような内容を「モコモコおばさん」が言うのはちょっと違和感があるし、逆も然りです。当時、伝えたい物やことについてはしっかり打ち合わせの際にお話していたので、こういうライターさんに、こういうキャラクターを作ってもらうのがベストなんだなと思って「モコモコおばさん」をお願いしました。

 

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営業から届いた「分かりやすくてええやん!」という反応。

渡辺:実際に記事を公開して、反応はいかがでしたか?

廣岡様:記事下のアンケートでも内容の理解度や購買意欲の向上という点で、いい数字が取れていましたね。それまでもデジタルでの施策でそういった評価する数値は取っていたんですが、他のと比較してもちょっと良いかなという感じです。他のでもそれなりの数字は取れているので…。

渡辺:他のと比べて特筆して良いというわけではなかった、と。

廣岡様:でもすごく印象的だったのは、社内の営業から反応があったことですね。施策を行った時は、社内向けにこういう記事が公開になりましたよというお知らせを出すんですが、正直今までの施策は見ているのか見ていないのか分からなかった。でも、コノビーさんの記事を送った時は、初めて営業から「これ、分かりやすくてええやん!」って返信が来たんです。

渡辺:おお〜!嬉しい!

廣岡様:忙しい営業も、漫画だったら読むんだなと。(笑)あと、1人のキャラクターが登場する連載型の取り組みは初めてだったんですが、分かりやすく「つづく」で終わるような形ではないのに、続きを読みたいという意向が読者から高かったのも驚きでしたね。

渡辺:確かに今回の場合はシナリオ性がないので、面白いか面白くないかだけで、続きが読みたいかどうかが決まってしまうパターンでしたね。

廣岡様:続き物ではないのに継続して読みたいという意向があるということは、「次の記事も、何か自分たちが知らないことが知れそうだ」という期待感の現れなのかなと思います。

 

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媒体が一番読者のことを分かっている。そこを信じる。

渡辺:全6回の連載企画で、今年も新シリーズを制作させていただいていますが、制作プロセスの中で何か気になった点はありますか?

廣岡様:大きく最初に伝えたことからずれた物が出てくるということは無かったですね。コノビーさんとライターさんと、関わる人が増えるとある意味伝言ゲームみたいになっちゃうと思うんですけど、変にずれることなく、ちゃんとこちらの伝えたいことが伝わっているな、という印象です。

渡辺:すごくよく覚えているんですが、最初にお話を伺った時に廣岡さんがすごく熱心に商品のお話をしてくださって。「石鹸」と「洗剤」の違いなんて考えたことなかった僕も、廣岡さんのお話を聞いた後は「なるほど〜!」と納得して、これをママたちにも知ってもらいたいと感じました。

廣岡様:一緒に届けようとしてくださっているなというのは、すごく感じました。

渡辺:何度もお話しされている内容でもあるし、廣岡さんご自身の中にシャープなメッセージがあるから、そこに向かってやって行こうというのは、うちのチーム内でも共有しやすかったなと思います。

廣岡様:伝えたいことの中の細かい部分でいうと、フックになる部分・ボリュームを持って説明する部分が、こちらの想定と違ったなということもありましたが、そこも含めて勉強になりました。コノビーさんのような、自分の媒体を持っている人たちというのは、読者のことを一番よく分かっていらっしゃるので、それを踏まえた上で、これが最適だと思って提案してくださっているんだろうな、と。

渡辺:ありがとうございます。

 

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イラストは海外戦略にも有効。これからもどんどん新しいチャレンジを。

渡辺:今回の取り組みはサラヤ様にとっても挑戦だったと思いますが、今後はこういう風に展開していきたい、といったお話はあるんですか?

廣岡様:今ちょっと考えているのは、海外への展開ですかね。海外、特にアジア圏においては漫画やイラストが同じように伝わりやすいのではないかなと考えています。まだ具体的に進んでいるわけではないんですが、中国チームとかベトナムチームから、日本語は分からないけど今回の漫画を使いたいというような相談はもらっています。

渡辺:「モコモコおばさん」が近い将来、中国語やベトナム語を話すかも知れないんですね!

廣岡様:あとは妊婦さんに向けた訴求というのも考えています。妊婦さんの時期って、自治体や母子教室が統一的に教えてくれる知識とそうじゃない知識があって、そこのギャップを人それぞれ感じていると思います。基本方針として、広告の中で「うちの商品が絶対良い、だから買ってください」というスタンスは取らないようにしています。まずは役に立つ知識をお届けする、そこに加えてうちの考え方やコンセプトに共感していただけるなら、たくさんある選択肢の中で選んでほしい。だから妊娠中、情報格差がある中でもみんなが必要としている情報を手に入れられるように発信していきたいと思っているんですが、なかなか反応の方は難しいですね。

渡辺:妊娠中は、「これから自分の身体がどうなっていくんだろう」という不安がある分、出産がゴールになってしまって、そのあとの生活までイメージできていないのかもしれません。

廣岡様:そうですね。だから妊婦さんに対してどういう風に情報を届けるのかというのは、見せ方やキャラクターが変わってくると思います。コノビーさんはたくさんのパターンを持っている媒体だと思うので、うちが持っていないナレッジを活かしてどんどん新しいチャレンジをしていきたいなと思います。

渡辺:期待に応えられるように頑張ります…!

廣岡様:一発勝負だったら確実に勝てる方法を取らないといけないですが、回を重ねていく施策であれば常に進化を目指したい。その時に、基本的には「失敗」ということはないと思っています。結果が出なかった施策があったとしたら、「この見せ方はうちの商品に向いてなかったんだ」「何かが足りなかったんだ」という学びにつながります。そもそも一回で魅力が伝わるような商材でもなく、積み重ねていくタイプの商材なので、こういう伝え方はどうだろうかということをどんどん試行錯誤していきたいですね。

渡辺:そういう風に言っていただけると、媒体としてもとても心強いです。

廣岡様:一方的に広告を出しているんじゃなくて、媒体を経由したタイアップ記事を作るということは、媒体が持っているナレッジを活用しながら、一番伝えたいことが伝わる形を見つけることだと思います。企業側が持っている伝えたい要素と、媒体側が持っている見せる要素の組み合わせ次第で、伝え方が変わっていく。だからこそ、クライアントだからここは言わない方がいいんじゃないかとか思わずに、どんどん提案いただきたいです。

 

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良い素材に良い味付けを。野菜の生産者とシェフのような関係。

渡辺:廣岡さんとお話していると、媒体に対する信頼感をとても感じて身が引き締まる思いです。

廣岡様:タイアップの醍醐味は、お互いに持っているものを出しあって相乗効果を産むこと。自分たちが伝えたいことを一方的に伝えるのであれば、コノビーさんを経由する必要は全くないわけですから。そういった意識で媒体さんと接するようにしています。

渡辺:僕たちも、もちろんホームページを見たり、店舗に行って商品を手に取ったりはするんですが、調べるだけでは見えてこない、裏の背景や商品に込められた思いを今回廣岡さんから直接聞けたのは、とても勉強になりましたし、一緒に伝えていきたいなと感じました。

廣岡様:渡辺さん料理が好きだから料理でたとえますけど(笑)、私たちメーカーは野菜の生産者みたいなもので、シェフである媒体さんに「おいしく味付けしてくださいね」と言って託しているんだと思います。その時に、大しておいしくない野菜を渡してもおいしくならない。だからこそ自分たちも「これなら自信を持って渡せる」という商品を作っているし、良い料理を作ってもらうための材料はできるだけお渡ししたいと思っています。

渡辺:非常に分かりやすいたとえをありがとうございます。(笑)どんな風に育てたとか、どんな思いがこもっているかとか、そういうことを教えてもらうと、僕たちとしても味付けが変わるし、料理を提供する時に話せることも増えますね。

廣岡様:かと言って、全部丸投げしますというのでもやりにくいと思うんですよね。ここは伝えたいことじゃないんだけどなあっていう齟齬も生まれやすくなりますし。だから、何を伝えて欲しいかは明確に持っておいた上で、コノビーさんに最大限おいしく味付けしてもらうための情報は全てお渡ししたいと思っています。これからもよろしくお願いします。

渡辺:ありがとうございます。そういった信頼に、これからも応えていけたらと思います。今日は、ありがとうございました!

 

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